わかっているのに…頑張っているのに…もう一息なのに…どうしてもうまく弾けなくて、やがて瞳に溜まった涙が頬を伝って流れ始める…。このレッスン中の悔し涙は、実は上達の前触れなのです。なぜって、うまく弾けていないことを自覚しているから。うまく弾きたいと強く思っているから。
ここで、一度冷静になって、直すべき点を再確認、集中力を高めさえすれば、次はうまくいくかもしれません。でも、レッスンは「練習時間」ではないので、きっと「また来週弾いてみよう」と、マルはお預けになります。そんな時は「この悔しさを忘れずに練習してくるんだよ!」と心の中でエールを送っているのですよ。翌週のレッスンで完璧に弾いて、晴れ晴れとした得意顔を見せてくれるのを楽しみにして。
何事も、本人にやる気がなければ上達しないけれど、こちらは「やる気に火を点ける」のがお仕事。時間はかかっても、弾けたときの喜びや楽しさは必ず快感を生み出して、次への原動力になるはず。涙は決して恥ずかしいことではないのです。
(ただし、濡れた手でピアノを弾くと、中に水分が入って鍵盤の動きが悪くなったりするので、それだけは要注意!)
2017/08/04